シタデル・セキュリティーズは、開示されたトレーディング分野に進出する最新のノンバンク・マーケットメイカーであり、かつてノンバンク流動性プロバイダー(NBLP)が使用していた匿名の電子通信ネットワーク(ECN)を基とする世界から離れ、クライアントとの関係を構築しています。
2015年11月に『FX Week』誌に掲載された記事では、開示されたベーシス取引分野への参入に向けて業務を開始したノンバンク最大プレーヤーの長期目標について取り上げています。シタデル・セキュリティーズの動きは、ロンドンを拠点とする欧州最大の為替プレーヤーの1つ、XTXマーケッツからの大きな後押しを受けたものです。
『FX Week』誌はまた、開示されたトレーディング分野参入に向け、今年後半に米国を拠点とする別の主要ノンバンクが独自の計画を発表する予定であることも報じています。
シタデル・セキュリティーズのe-FX部門グローバルヘッドであるケビン・キメルは次のように述べています。「シタデル・セキュリティーズはFX市場に参入以来、目覚ましい成長を遂げています。当社はECN分野における主要な流動性プロバイダーです。開示された顧客ビジネスを拡大しており、そこでの大幅な成長を見込んできます」
現在のところ、明るい兆しが見えています。ノンバンク流動性プロバイダーであるシタデル・セキュリティーズは昨年、その取引量を2倍以上に増やし、FX分野でのプレゼンスが約2年であるにもかかわらず、本格的なリスクウェア・ハウジング企業としての地位を確立しています。
「私たちは年初から100を超えるカウンターパーティと取引してきました。FXに参入したのが比較的最近であることを考えれば、これは大きな意味を持ちます」とキメルは付け加えます。
現在、欧州でのプレゼンスを拡大し、顧客との直接取引を構築するために、シタデル・セキュリティーズは3人の上級職を採用しました。
JPモルガンでe-FX販売スカンジナビア及びベネルクス担当バイスプレジデントを務めていたジェームス・エドワードが欧州の顧客向け直接取引の構築を主導し、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの元e-FX販売米州ヘッドであるラシェル・サリミが米州への進出を主導することになります。
また、ゴールドマンサックスのエブラン・オズクルがシタデル・セキュリティーズのe-FXトレーダーとして加わり、G10及び新興国市場通貨の流動性供給をさらに強化します。エドワードとサリミは既に2月からシタデル・セキュリティーズで始動しており、オズクルは5月から加わる予定です。
「私たちは欧州を非常に重視しています。ジェームスの採用はなくてはならないものであり、彼は地域での存在感を高めるために必要な接続性とフィードバックの確保に取り組んでいます」とシタデル・セキュリティーズの債券・FX・コモディティ部門グローバルヘッドであるポール・ハミルは述べています。
質に関する議論
市場開拓のタイミングがやってきたのは、銀行とノンバンク・マーケットメイカーと比較した場合のカウンターパーティが得られる約定執行の質に関する議論が動いた時でした。それまでは、信頼性が低く取引頻度が高いとして、ノンバンク流動性プロバイダー(NBLP)はホールセール取引を解消していましたが、バイサイドの市場参加者が、パフォーマンスの質が低い銀行系流動性プロバイダーからノンバンクへと積極的に切り替えを検討し始めたことで、状況が動きました。
「現在の市場における1つの課題は、誰が市場にリスク能力を提供し、誰が即座にポジションを反転させるかが不明瞭であることです。市場は明らかに、在庫保有リスクを取る人と取らない人に分かれています。それは、単に流動性プロバイダーを銀行とノンバンクに区別するといったことよりも複雑です」とハミルは語っています。
カウンターパーティの選択プロセスの発展を促したのは、分析分野の進歩と、規制による後押しでした。規制によって、顧客は約定の質を調査し、最良の約定の証跡を作成することを余儀なくされたのです。
大手年金基金や資産運用会社はこれらの調査結果を検討し、一部の基金や会社では、「銀行系vs.ノンバンク」の議論に疑問を覚え、数字自体を判断材料にするようになっています。現時点では、資産運用会社によるノンバンクの流動性へのアクセスは、FXにおける信用取引仲介の構造が原因で厳しく制限されています。
「私たちは、当社が市場に与える影響実績について、お客様が評価できるようにしたいと考えています。独自の取引コスト分析手段を持たないお客様には、当社の平均スプレッド記録と取引後のデータグラフ類全般などのトレーディング業務の概要をまとめて提供できます」とキメルは述べています。
ビジネスへのコミットメント
「当社はFXビジネスの成長に非常に力を入れており、当社の在庫保有リスクに対する力量、取引後の市場価格へのインパクトを最小限に抑える能力、リスク管理に重点を置いた経営は、多くのお客様にとって魅力あるものだと信じています。当社は主に銀行セグメントに重点を置いていますが、他の機会も同時に模索しています」と付け加えています。
しかしながら、シタデル・セキュリティーズにしても同業他社にしても、2013年以前に銀行間で起きたものと同様の売買高戦争に巻き込まれる可能性は低いと見られます。シタデル・セキュリティーズは、この1年で取引高がさらに倍増すると予想していますが、顧客の適性を確認し、会社の在庫保有リスクに対する姿勢を評価しない限りは、新規顧客登録を行いません。
「当社では、開示された顧客ビジネスを積極的に拡大する一方で、電子通信ネットワーク(ECN)に引き続き大きな流動性を確実に提供し、このビジネスもさらに成長させていく計画です。規模は重要ですが、取引高のための取引は私たちのやり方ではありません」とキメルは締めくくりました。
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